1-0 序言
本文書は下記の目標の下に ISRRT(世界放射線技師会)が全加盟国技師会に諮問して作成したものである。

  • 診療放射線技師(MRT)の役割を確認して明確にするこ
  • 医療チームの一員としての診療放射線技師が負っている責任を明確にすること
  • 専門職教育プログラムの作成を促進すること

  本文書において,文脈上別段の定めがなければ,男性で言及した場合でも女性も含まれる。診療放射線技師はMedical Radiation Technologists,Medical Radiological Technologists,Radiographers, Radiological Technologists,Imaging Technologists,Radiation Therapists, Sonographers, Nucnear Medicine Technologists 及び各国で認定された専門教育プログラムを修了したその他の人々を言う。各国がそれぞれの専門用語を使用していることを認識しなければならない。
 下記の詳細な記述により,放射線技師の全体的役割及び特定分野(放射線診断,放射線治療,核医学,超音波,デジタルイメージング,MRI )における役割が定義されている。
 個々の放射線技師が遂行すべき役割に多数の要因が影響することは明らかである。これらの要因にはどの程度まで技術的に達しているか,各国の伝統,施設の規模,医療チームが行う各種業務,その他の医療スタッフの質及び彼らからの支援を仰げるかどうかが含まれる。従って,どの程度の実践が可能かどうかは国内でも国家間でも違いがあることを認識しなければならない。


2-0 放射線技師の責任  
 放射線技師は画像部門又は放射線治療部門における7つの最重要分野を統合する専門家である。これらの7分野はペイシェントケア,技術利用,線量最適化,臨床責任,組織化,品質管理,教育研修が含まれる。これらの分野のそれぞれにおける放射線技師の役割の要点を以下に述べる。

2-1ペイシェントケア
  患者のケアで,放射線技師は患者の福利に関して直接的かつ監督的な役割を果たす。これが放射線技師の最も重要な責任である。
 患者の福利は下記によって決まる。

  1. 患者に影響を及ぼす可能性のある肉体的・精神的関連要因を,患者の社会的,文化的ニーズとともに,放射線技師が認識していること。そして必要に応じてこれらを報告する。
  2. 放射線技師が患者の一般的安全性・快適さのために適切な手はずを整える。
  3. 必要情報が全てそろっており正確であり,かつ正確な確認手順が遂行されていることを放射線技師が保証する。
  4. 患者から必要手順に対する同意を得る。
  5. 放射線技師は相互感染を予防するためあらゆる適切な施設及び方法を用いるための必要条件を満たす。
  6. 倫理的配慮が全て満たされている。

2-2 技術の利用
 放射線技師は患者に電離放射線,非電離放射線を用いた画像診断,あるいは電離放射線を用いた放射線治療が必要かどうかを選択する。放射線技師は画像診断を行う又はこのような治療を実施する唯一の専門家である。

2-3 線量の最適化
 ICRP36には,放射線技師は患者の放射線防護に関し重要な立場にあり,彼らの「技能を駆使し,注意を払い,広い裁量内で,照射する放射線量を決定する」と述べられている。従って,放射線技師は下記の通りでなければならない。

  1. 患者及びスタッフへの電離放射線使用に関する関連法律,法規,規則,勧告を全て理解し適用することができる。
  2. 電離放射線の医用及び研究用に使用した結果生ずる身体的危険及び遺伝的危険の両方を理解し,質問に応えて適切な用語でこれらを説明できる。
  3. 放射線技師の態度,権威,最新の知識の維持によって,医用目的の放射線の使用管理を助ける。
  4. 放射線技師は「放射線防護管理者」の役割を果たす覚悟がなければならない。

2-4 臨床責任
 放射線技師の主たる専門的技術及び責任は,画像診断及び/又は放射線治療の全領域の技術を管理すること,かつそれに続いて自分の仕事の質を評価することである。放射線技師は業務に対する職業的責任を負い,職業上の限度について判定し,情報の機密性を維持しなければならない。

2-5 組織/管理
 放射線技師は組織内の役目により,自分の業務を適切・効率的に行い,医療機器を使用し,自身の任務の領域において放射線部の方針を適用する責任がある。

2-6 品質管理
 放射線技師が関連する全ての領域において品質管理が必要である。各分野において,放射線技師は放射線部の品質基準を設定し,維持し,監視するチームの正式メンバーでなければならない。適切なプログラムがない場合,放射線技師が責任を持ってプログラムを提案し,確実にそれを実施する。

2-7 教育・研修
 現場の専門職として,放射線技師は進歩に合わせて業務を最新化し維持するとともに,患者の利益になる研究成果を適用する義務がある。
 臨床の場で働く放射線技師は放射線技師学生の臨床教育に携わらなければならない。放射線技師の資格,能力,役割により,適切な状況で他のスタッフに助言し,指示し,監督することができる。更に,学生,他の専門職,一般大衆の理論研修への参加を要請されることがある。上記の節は,実践している専門が何であれ,全放射線技師の責任を一般的な言い方で言及したものである。
 以下の節では,特定の分野における役割についてより具体的な助言を述べている。



3-0 放射線診断部門における放射線技師の役割
 現代の診断部門で,画像様式に共通して含まれるのは,一般撮影,透視検査,デジタルイメージング,超音波,核医学,MRIである。

3-1 ペイシェントケア
 放射線技師は下記を確認した場合のみ,撮影準備に取りかかる。

  1. 患者を間違いなく確認する。
  2. 先に実施した撮影により,必要な情報が既に得られているということがない。
  3. X線検査の前に関連した臨床歴が患者から得られており,適切な検査が要求されているか,あるいは適切な医療スタッフへの照会がある。
  4. 併用療法や同時検査により良好な結果を妨げない。
  5. 準備指示又は前投与,及び/又は造影剤指示が正確に行われている。
  6. 適切なアフターケアが実施されている。
  7. 胎児を保護する勧告手順が適用されている。
  8. 相互感染を予防するためあらゆる措置が構じられている。
  9. 全ての倫理指針に従っている。

3-2 患者のポジショニング
 最適画像が得られるように患者のポジショニング,フィルムの設定,X線の入射方向を正しく決めるのが,放射線技師の責任である。そのためには,下記の点を考慮しなければならない。

  1. 患者の快適さ
  2. 固定
  3. 放射線部の決まり及び必要な修正
  4. 現場にいる全員の放射線防護

3-3 撮影条件
 患者の状態を考慮に入れた,正確な写真濃度及び画像の鮮鋭度を作成する曝射条件及び感光材料を適当に組み合わせるのが放射線技師の責任である。下記の点を検討しなければならない。

  1. X線透過力
  2. 自動露出装置やmAs及び距離等の認識
  3. 焦点サイズ及び管球定格
  4. 一次,二次放射線を制限するために全ての可能かつ適切な器具の使用
  5. 選択した画像記録システム及び必要な画像処理

3-4 放射線被曝及び線量最適化
 フイルム画像及び/又は動画像の作成・保管を維持管理するのは放射線技師の責任である。報告を行うのに画像が十分な標準のものであるかどうかを,引き続き判断しなければならない。放射線技師は下記の点に責任がある。

  1. 処理装置及び化学薬品が準備万端整っており,安全に使用できる。
  2. 画質が目的に対して最適である。
  3. 確認が正確,完全,継続的である(これは法医学上の要件である)。
  4. 画像を医療スタッフの適切なメンバーに呈示する前に,文書が完成している。
     放射線技師はその責任の中に,画像所見を臨床医に説明したり,非日常的所見が認められる場合通知する必要性を含めなければならないことがある。

3-5 装置
 放射線技師は下記のような方法で装置を使用し整備することができなければならない。

  1. 患者,スタッフ,その他の全ての人々への危険をできる限り最小限にする。
  2. 患者,スタッフ,その他の全ての人々へ不必要に照射しない。
  3. 最終的に撮影のミスが装置の不正確な使用によるものでない。
  4. 装置を安全・正確に使用する。
  5. 装置の性能を常時管理する。
 これらの機能を遂行するため,放射線技師は下記ができなければならない。
  1. 装置が順調な作業状態にあるかをチェックする。
  2. 装置の性能を監視するのに必要な全チェック及び試験を行う。
 放射線技師は下記に責任がある
  1. 性能試験を実施するのに必要な全試験装置が放射線部に設置され,良好な作業状態にあることを確認する。
  2. 装置又はその性能の欠陥を報告し,必要な修理が適切な人から要請されていることを確認する。
  3. 装置及びその周囲に身体上の危険がないことを確認する。
  4. 与えられた装置及び付属品の範囲から,放射線部の決まりを考慮して最高の放射線画像作成の助けとなるものを選択する。

3-6 デジタルイメージングにおける責任
 放射線技師は下記に責任がある。

  1. 患者の位置と必要三次元情報を相関させるために,横断面解剖の詳細な知識を用いること
  2. プログラムを選択すること
  3. 選択したパラメータ,例えば補償フィルターの使用,照射係数あるいはパルス系列の選択,付属装置等の使用等を用いた場合の画質の可能性について助言すること
  4. 最適画質を得るためデータを記録し,適合させ,再構成すること
  5. 情報の保管及び検索すること
  6. 得られた画像を読影・診断用に適切かどうかについて評価すること

3-7 他職種との連携が必要な検査
 例えば,下記のような検査で放射線医や研修を受けた臨床医と協力することは放射線技師の責任である。

  1. 透視と間接撮影
  2. 血管造影と治療を加味したインターベンショナルラジオロジー
  3. 手術室や集中治療室などのような放射線部以外で実施される放射線検査
  4. その他の画像作成
 これらの状況における放射線技師の責任には下記に加えて,検査の調整が含まれることがある。
  1. 装置の準備と使用
  2. ペイシェントケアとポジショニング
  3. 撮影条件の選択
  4. 線量の最適化
  5. 手順及び画像記録の文書化



4-0 超音波検査部門での放射線技師の役割


4-1 助言
   超音波は非電離放射線を利用する専門分野である。他の画像に比較してオペレータに依存し,従って装置を操作する人の非常に高度な理解と判断が要求される。先に項目化した役割に加え,超音波を扱う技師は装置使用に関する物理学,それに関連する解剖学,生理学,病理学の完全な理解が必要である。

4-2 患者のポジショニング
 検査部位を標準スキャン又は応用した方法によって明示する必要がある。
 リアルタイム画像から得られた情報のために,即座に標準方法から位置決めをすることは必須技能である。

4-3 装置設定
目的に適した画像を得るため最適条件を選択するのが放射線技師の責任である。これには下記が含まれる。

  1. 探触子の選択
  2. ゲイン設定及びその他の関連要因
  3. 記録システムの選択

4-4 画像の記録
 フイルム画像及び/又は動画像の作成・保管を管理するのは放射線技師の責任である。画像が放射線技師又は他の適切な専門職の人が行う報告用に十分な水準のものであるかどうかについて判断を下せなければならない。

4-5 超音波の最適化
 超音波の強さは患者の安全性を考慮しつつ最低限に保たれなければならない。

4-6 臨床責任
 放射線技師は下記が要求される。

  1. アーチファクト,偽エコー,真の所見の区別
  2. 解剖,病理構造の認識
  3. 電子装置類の限界の認識
     関連教育・研修が行われ,権限が与えられている場合には,放射線技師は必要に応じて所見の記述及び/又は口頭か文書による報告をすることがある。




5-0 MRI/スペクトロスコピー(MRI及びMRS)における放射線技師の役割

5-1 ペイシェントケア
 放射線技師は下記でなければならない。

  1. 不安を減らし閉所恐怖症による拒絶率を最小限にするため,慎重に患者に心の準備をさせる
  2. 事故や画像上のアーチファクト発現を防ぐため,患者が磁場に敏感な金属品やその他の品物を身につけていないか検査前にチェックする

5-2 装置
 放射線技師は基本的な物理現象を理解し,装置の操作能力により,下記を選択することができなければならない。

  1. パルス系列
  2. 組織可変性,Tl,T2,プロトン密度,フロー
  3. 信号強度
  4. 付属装置の使用

5-3 安全性
 放射線技師は共用しているさまざまな装置に影響を及ぼす強磁場の異常な危険性を理解していなければならない。領域内に入る人々及び装置を常に評価し,適切な手段を講じなければならない。



6-0 核医学部門における放射線技師の役割

6-1 ペイシェントケア
 放射線技師は下記を確認した後に初めて,画像撮影又は治療方法手順を行う。

  1. 患者が本人かどうかを確認する。
  2. 検査(治療)環境が患者の治療に適した状態にある。
  3. 患者が,検査結果に障害となるような薬剤を服用していない。
  4. 患者が,検査結果に障害となるような検査や治療を以前受けていない。
  5. 前処置用薬剤が正しく服用又は投与された。
  6. 必要な準備が完了している。
  7. 妊娠可能な患者には,それについて確認を行い,もし妊娠中の場合は適切な指導を行う。
  8. 投与された薬剤の性質上,患者が日常生活で守らなければならない注意事項についてカウンセリングが行われる(これは特に授乳中の母親に関連する)。

6-2 放射性薬品
 放射線技師は単純及び複合放射性医薬品を調剤できる必要がある。これには以下が含まれる。

  1. RIジェネレータのセッティング
  2. ジェネレータより抽出し,放射能を測定する
  3. 正確な容積と放射能量を算出する
  4. )臨床使用に適した形で放射性核種に無菌的に表示する
 診療放射線技師は診断又は治療線量を照射された患者の検体を“in vitro”で測定できること。これには下記が含まれる。
  1. 標準値に入るようデイリーチェックを行い,装置を正確に使用する。
  2. バックグラウンド放射能を計測し記録する。
  3. )記録データを用いて必要な計算を行う。
  4. データ照合が必ず正確,完全,不変であることを確かめる。

6-3 放射性医薬品の投与
 放射線技師は下記を行う。

  1. 患者に各種の放射性薬剤を静脈内投与又は経口投与の介助をする/又は実施する。
  2. 投与量が必ず正確であること(放射性薬剤及び放射能)。
  3. 投与時間を含む正確な投与量を記録する。

6-4 装置
 放射線技師は下記に責任がある。

  1. 装置及び付属品の範囲から,検査に最も適切なものを選択する。
  2. 装置の稼働状態が良好であることをチェックする。
  3. 装置に欠陥の発生した場合には,放射線技師は責任を持ってその事象を報告し,必要な修理を依頼し,適切な文書を整え,その他の適切な手段を構じる。

6-5 患者のポジショニング
 放射線技師の負うべき重要な責任は下記の通り。

  1. 最適な画像を作成するため,あらゆる面で患者の正確な体位を確認する。
  2. 画像の障害因子とならないような方法で画像にマークする。さもなければ不正確な診断に結びつく可能性がある。

6-6 操作パラメータ
 下記のような最適要因を選択するのは放射線技師の責任である。

  1. 使用している放射性核種のための正確なエネルギーウィンドウの選択
  2. 適切なコリメータの選択
  3. 記録システムの選択

6-7 画像の記録
 放射線技師は下記の責任を負う。

  1. 適切なプログラムを用いて全ての必要なデータ解析が完了していることを確認する
  2. 関連画像データが適切に記録保管され検索できる。

6-8 放射線防護及び線量の最適化
 放射線技師は電離放射線による危険に関し重要な責務を負う。非密封線源を使用することにより更に特定の危険が生ずる。
 放射線技師は下記の業務を行う。

  1. 放射性物質の受領,保管,使用,廃棄の詳細な記録を付ける。
  2. 放射性物質の保管及び遮蔽が政府及び地方自治体の規則に従っている。
  3. 人,装置,環境の放射能汚染を防ぐ。
  4. 放射能汚染後には,決められた規則に従い,適切な手段を講ずる。
  5. 放射能汚染後,正確な報告手順を踏む。
  6. 患者及びスタッフへの放射線の危険を最低限に保ちつつ,治療線量照射が行われていることをチェックする。
  7. 診断又は治療放射性医薬品が大量投与された患者に接触するスタッフ及びその他の人々の防護のため十分な指示を行う。
  8. 放射線部及び/又は国家の規定に従い,放射性廃棄物の処理を行う。
  9. 放射線防護管理者の役目を果たす用意ができている。

6-9 品質保証
 品質保証は核医学部門で重要な役割を果たす。装置は非常に敏感で,パラメータの範囲内で作動していることを確認するため定期的チェックが必要である。計器の正確な修正が最も重要である。多くの試験は計数及び統計学的変動に関係する。下記に放射線技師が行うことになっている業務の一覧表を示す。
 品質保証プログラムを実施するため,放射線技師は下記を遂行するため全ての試験及び試験装置を理解し経験をすることが必要である。

  1. 保守管理用装置が必要時に利用可能であり,順調な作業状態であることを確認する。
  2. 保守管理用装置を適切に使用する。
  3. 環境(管理区域を含む)を定期的に監視する。
  4. 故障が発生した場合それを認知し,不正確なデータの使用を防ぐ。
  5. 検査開始前に,決められた基準に従って画像装置が作動していることを確認する。



7-0 放射線治療部門における放射線技師の役割
 放射線技師は放射線科医の処方に従い,治療(照射)を準備し,チェックをし,実行する。放射線技師の責任には照射部位の位置決め,照射記録,治療領域のマーキング,及びモールド作成も含まれる。更に,放射線技師は患者及びその家族の指導,カウンセリングで重要な役割を果たす。本章では遠隔照射法,密封小線源に言及する。ただし必要な場合は別途段落を設ける。

7-1 ペイシェントケア
 放射線技師は下記を確認した後にのみ患者の治療を始めることができる。

  1. 患者の確認が適切に行われた。
  2. 患者,その配偶者及び家族のカウンセリングが行われた。
  3. 患者が必要な事前治療(例,歯科)及びアドバイス(例,食事)を受けたことを確認する。
 放射線技師は下記に責任がある。
  1. 治療(照射)時を通じて患者の精神的及び肉体的快適さを追求する。
  2. 患者及び家族との有効なコミュニケーションを常に取るように,心がける。
  3. 治療中患者を継続的に観察する。
  4. 他の専門職と協力して,患者に治療とその副作用についての助言をする。
  5. 患者の治療に対する反応をモニターし,有意変化を認知し,適切な手段を講じる。これは主治医と協力して行うこともある。

7-2治療計画
 放射線技師は下記(に責任があり)を遂行できなければならない。

  1. 放射線科医の処方及び計画指示を解釈しチェックする。
  2. 透視法及び/又はCTスキャニング,更に場合によってはMRIで位置決めを行い,かつ治療領域及び/又は線源配置をシミュレータでチェックを行う。
  3. 照射を行う。これは他の専門職の人と協力して行うこともある。
  4. 目的にあった固定器具,防護装置(モールド,補償フィルター等)のデザイン及び制作を行う。

7-3 装置
 放射線技師は下記の目的のために,密封放射線源,アフターローディング装置を含む装置を使用し整備することができなければならない。

  1. 患者,スタッフ,その他全ての人々への危険性がない。
  2. 患者,スタッフ,その他全ての人々への不要な照射が行われない。
  3. 装置の故障あるいは損傷は直ちに報告し記録する。
  4. 装置が安全,正確に使用され,その性能が常にモニターされている。
 これらの機能を維持するため,放射線技師は下記を遂行できなければならない。
  1. 適切な修正及びチェックが行われたことを確認する
  2. 保守管理用装置がいつでも利用可能であり,良好な作業状態であることを確認する。
  3. 放射線部の決まりに従って装置の性能をチェックし,その結果を記録する。結果が放射線部の要条件を満たさない場合には担当者に報告する。
  4. 装置性能(修理及び改造を含む)に関し,正確かつ包括的な記録を付ける。
  5. 装置及びその環境が清潔に保たれ整然としており,危険性がないよう取り計らう。
  6. 治療中,装置の性能を継続的にモニターする。
  7. 放射線源を準備し,アフターローディング装置のプログラミングをする。
  8. 手術室という特殊状況下で放射線源使用時には,これらの準備と整備をする。これには手術滅菌手順が含まれることがある。

7-4 患者のポジショニング
 放射線技師は下記に関してシミュレーション・治療計画係が処方した開始手順を解釈し,チェックし,実施する。

  1. 患者の体位
  2. 放射線ビームの方向
  3. 必要装置の選択及び使用
  4. l日当たりのトータル線量及び分割照射
  5. 放射線エネルギー及び放射線の種類
  6. 治療照射パラメータ及び付属装置使用の必要性
  7. 患者の適切な固定

7-5 治療照射記録
 放射線技師は下記を考慮しつつ,決まりに従い治療(照射)を記録しなければならない。

  1. 照射について確認
  2. 記載事項
  3. 透過画像の使用の有無
  4. 組織線量測定の有無

7-6 放射線防護及び線量最適化
 放射線技師は電離放射線による身体的・遺伝的危険性について重大な責任があり,下記の点を考慮しなければならない。

  1. 処方された治療照射技術の正確な適用
  2. 放射線部の決まりの適用 c)放射線防護に関する最新の法規の理解及びその適用
  3. 放射線使用に関し,不慮の被曝の可能性に対する適切な反応


7-7 他職種との連携が必要な治療
 放射線腫瘍医,研修を受けた臨床医,画像診断部門と協力するのは放射線技師の責任である。例えば,CT,MRI,及び/又はその他の方法を用いての患者の体内へのアプリケータの挿入(腔内,組織内,管腔内),位置決め及びシミュレーション等である。




8-0 組織における診療放射線線技師の役割(管理)
 組織における放射線技師の責任の範囲・分野は放射線技師が任命された職位によってさまざまである。職位が上がるにつれて放射線技師の役割の組織的要素が増大すると考えられる。
 考慮すべき要素には下記が含まれる。

  1. 放射線技師は全段階で患者にできる限り最高水準のサービスを保証し,水準を維持し向上させるようにしなければならない。
  2. 部又は分野の目的及び目標を設定する。
  3. 部のスタッフとコミュニケーションをはかり,彼らをまとめ,動機付けする。
  4. 必要な場合にはスタッフの選択,任命に参加する。
  5. 必要な場合には良質の24時間サービスを維持するようにする。
  6. 効率的なサービスを提供するため,必要な統計学情報が保存され,利用可能であるよう取り計らう。
  7. 放射線技師に関する法律全てに従い,最新の法律を職場(国家,病院,部等)で適用するよう心がける。
  8. 放射線技師の専門技術の課題について経営陣,その他にアドバイスし共通の関心事項について彼らと協力する。
  9. 装置,プロトコール,資源利用等,部が行う開発では計画チームのメンバーになる。
  10. 在庫,供給を部の予算内で最適レベルに保ち,使用目的に適合するよう注力する。
  11. 病院内外で専門職の人々と共通の関心事項について連絡し協力する。
  12. 製造業者の代表と装置の現況について連絡し合い,そのデザイン,機能が将来のニ一ズを満たすようにする
  13. 国家,病院,部の方針が実行されるように心がける。
  14. スタッフの潜在能力が十分発揮されるよう心がける。
  15. 放射線技師を目指す学生の教育計画の立案を支援し,彼らの授業・研修に貢献する。 p)放射線技師の職業の発展に貢献する。