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【 薬事法改正について 】


【 はじめに 】

 薬事法は、今年4月に医療機器の市販後の安全対策の充実と承認・許可制度の見直しに重点をおいて大幅な改正が行われました。医療法によると、医療機関の管理者も薬事法の規定に違反しないよう必要な注意をしなければなりません。
 今回は、この薬事法改正についてまとめてみました。



【 薬事法とはどのような法律なのか? 】

薬事法の目的
 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質・有効性・安全性の確保のために規制を行い、国民の生命・健康に重大な影響を及ぼす医薬品・医療機器の研究開発のために必要な措置を講ずることで保健衛生上の向上を図ることを目的としています。
薬事法で定められている医療機器
 薬事法では「人・動物の疾病の診断、治療、予防に使用される。または身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とした機械用具であって、政令で定めるもの」とされています。
 具体的にはメスやピンセット、我々の取り扱うX線装置など医療機関にあるものからアルカリイオン水生成器、家庭用マッサージ器などなど身の回りのものまで多種多様です。



【 今回の薬事法改正 】

改正の目的
 今回の改正での主な目的は、「市販後の安全対策の充実」と「承認・許可制度の見直し」が主な目的です。
改正のポイント
 医療機器が人体へのリスクに応じてクラス分類されました。
分類
クラス分類
リスクによる分類
製造販売承認規制
品目の一例
一般医療機器
人体へのリスクが極めて低いもの
承認不要
X線グリッド、
X線フィルム
管理医療機器
人体へのリスクが比較的低いもの
第三者認証
MRI装置、
CT撮影装置、US、
X線診断装置、X線透視診断装置
X線画像診断装置ワークステーション
高度管理医療機器
人体へのリスクが比較的高いもの
大臣承認
放射線治療装置
生命の危険に直結する恐れがあるもの カテーテル、
冠動脈ステント
『特定保守管理医療機器 』
クラス分類に関係なく、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とする医療機器
  例:MRI装置、CT撮影装置、US、X線診断装置、X線透視診断装置、
    放射線治療装置、心電計など
の販売から販売後の保守を扱う業種が明確な免許制度になって規定されました。
 これまでの制度では「製造業」が市販後の安全対策も負っていましたが、今回「製造販売業」を新設し、市販後の体制・品質確保体制の全責任を負うことになりました。これにより、他の業の役割も明確化されました。販売業は販売・設置責任、修理業は修理作業責任を負うことになりました。修理業に関しては、これまで製造業の一類型として扱われていた修理業が新しく規定の見直しされることになりました。
・ これまでの業態
製造業(輸入販売業)
製造販売業
医療機関
・ 改正後の業態
製造業
製造販売業
販売・賃貸業
医療機関
『 製造販売業者って? 』
 これまでの製造行為に着目した承認・許可制度を、市販後の安全対策を重視した観点から出荷・上市する行為に着目した承認・許可制度に再構築するために新設されたのが製造販売業です。
 自らは製造を行なわず、最終顧客に販売もしません。組織として品質保証、市販後の安全確保などの管理業務が主体の組織です。また、販売する医療機器の品目毎の承認を得る行為を行ないます。
 また、医療機器の分類に対応した安全対策を講じるため3種類の業態に分けられており、許可制度になっています。



【 薬事法改正で我々技師は何をしなければならないのか? 】

医療機器添付文書の遵守
 添付文書は、すべての医療機器に添付文書をつけることが義務付けられています。医療機関では添付文書に記載された事項を遵守しなければなりません。
 また、新規に機器購入した際には添付文書の交付を受け、記載内容の説明を受けなければなりません。交付を受けた後は担当部署で保存し、機器の使用時に判断が迷う場合は添付文書を確認することが必要となります。
 これらを怠り、添付文書に記載された使用上の注意事項に従わず、医療事故が発生した場合には使用者の過失となります。
《 安全性情報報告制度 》
・制度の趣旨
 日常、医療機関において、医薬品又は医療機器の使用によって発生する健康被害等の情報(副作用、感染症及び不具合の発生)を医療従事者が直接厚生労働大臣に報告する制度です。
 報告された情報は、専門的観点から分析、評価され、必要な安全対策を講じるとともに、広く医薬関係者に情報を提供し、医薬品及び医療用具の市販後安全対策の確保を図ることを目的としています。
・報告対象となる情報
 医薬品又は医療用具の使用による副作用、感染症又は不具合の発生(医療用具の場合は、健康被害が発生するおそれのある不具合も含む。)について、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する観点から報告の必要があると判断した情報(症例)が報告の対象となります。
 なお、医薬品又は医療用具との因果関係が必ずしも明確でない場合であっても報告の対象となりえます。
      医薬品医療機器情報提供ホームページ
        http://www.info.pmda.go.jp/info/houkoku.html




学術部 宇都辰郎 播摩優子