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【 診療放射線技師免許をとりまく話題について 】


 私たち診療放射線技師を取り巻く状況を知り,各種の専門技師制度のありかたや必要性,生涯学習システムの意義などを再確認してみたいと思います.今,手元にあるいくつかの資料を基にこれを書かせていただきます.

1.厚生労働省の医療分野規制改革検討会による報告書に記載される内容で,診療放射線技師に直接関与する事項は以下のようになります.

1−1.医療分野における規制見直しの方向性

 医療サーサービスの成果をもってサービスの質を評価することで,患者に選択されない医療機関や医療関係者が自然に排除されていくシステムつくりが望ましい.

1−2.主な規制のあり方

1) 情報提供の推進

 医療のプロセスや成果の情報提供が進むような環境整備は重要である.情報提供の推進や信頼性の確保は,専門的団体が策定するガイドライン等により取り組むことが望ましいが,十分でないときは,国民にとって医療機関を選択するときに必要な情報提供を義務づけることも考える.

2) 医療資格者の資質の確保

 すべての医療資格者が一定水準以上の資質あるいは技術を有するようにするシステムを作る必要がある.このため,医療関係団体は医療資格者の生涯教育の充実と自浄作用を発揮すべく取り組む必要がある.これらに対する関係団体の取り組みをふまえて,将来的には一定の研修を義務化することも必要としている.その上で,資質向上がさらに必要と認められる場合は,資格更新制度の考慮すべきである.さらに,医療過誤には適切な対応が求められており,刑事事件とならなかった事例についても,適切性を欠く場合には厳正に対処し,処分を受けた資格者の再教育の徹底を図ることが必要としている.

 これらを見ますと,最初にありますように向上する意志のない医療施設や医療資格者は自然に淘汰されるシステムを作ることが必要なのですが,言い換えれば関係団体自体が自浄作用を備え,生涯教育の充実を図ることにより,医療資格者の資質並びに技術を確保すべく努力しなければならないことになります.さらに,その姿勢や普及の度合いが十分でない場合には資格更新制度が導入されることになります.これに対する取り組みは当放射線技師会ではすでに始まっており,技師格カードの普及と生涯学習システムの実施であります.皆様がこのセミナーを受講することや,技師格のステップを上る努力をすることが社会に対する自己研鑽の実績をより明確にアピールするものとなります.

 私たちが日常的に医療施設において実施する各種の検査は急速に進歩しています.さらに新しい検査手技も次々出てくる状況です.それらの検査によって最大限の情報を患者様に還元することが私たちの使命でありましょう.そのためにも日常的に情報を収集し,技術を習得するなどの自己研鑽が必要なことは言うまでもありません.

 今までのように放射線を扱う私たちの業務が,診療放射線技師と医師の独占業務であるかどうか,放射線機器,画像診断機器の管理業務が診療放射線技師の業務であり続けるかどうか,それらは私たちの今の姿が決めることです.

 医療職として最低限必要な知識と技術を身につけるアドバンスド放射線技師格取得のためのセミナー,放射線を取り扱う専門家として必要な知識を取得するための放射線管理士認定講習会,画像診断機器を維持し性能を十分に発揮すべく保つ知識を取得するための放射線機器管理士認定講習会,さらに各種の臨床技術認定講習会や各都道府県技師会で開催される各種セミナーなどを通じて患者様によりよい画像情報を提供し,職能集団として社会に広く認められる事を願っています.



学術部 坂下 惠治