生涯学習システムについて

【はじめに】
 平成15年から始まった日本放射線技師会の生涯学習システムは、これまで改善を加えながら運用されてきましたが、平成21年度から完成型として新たに運用が始まります。
 これは、生涯学習システムの根拠となる規程「継続学習基本規程」「継続学習基本規程細則」「認定資格制度に関する規程」「臨床技術能力検定制度に関する規程」が新たに制定されたことに伴うものです。
 今回の主な変更点は“放射線技師格の認定要件の変更”“各都道府県の放射線技師会主催のイベントが社会活動カウントとして扱われること”“認定資格の更新講習会が開催されること”“臨床技術能力検定の受験資格の変更”です。なお、運用は周知期間を考慮して平成21年7月1日となっています。

【放射線技師格について】
 
放射線技師免許の取得後から継続学習の達成度をもって放射線技師格が認定される。
 
最初、アドバンスド放射線技師格の取得を目指し、その後にシニア放射線技師格、マスター放射線技師格を目標に学術研修実績を積み上げていくことになっている。
 アドバンスド放射線技師格の認定要件としては、臨床業務遂行で必須となる「アドバンスド放射線技師格のためのセミナー」4科目の他に、新たに「放射線機器管理士」と「放射線管理士」の2つの認定資格を取得することで認定される。ただし、平成26年3月31日まではアドバンスド放射線技師格の認定要件内の認定資格については「放射線機器管理士」「放射線管理士」に限定されていません。また、受講しやすい環境を整えるため「アドバンスド放射線師格のためのセミナー」は受講料が無料となっている。


【生涯学習カウントについて】
 
生涯学習カウントは、これまでその取得や計算の方法により様々な名称を与え特別な意味を持たせていたが、今回からそのような区分はなくなり、一律の“カウント”として扱われる。その中で学術・研修カウントとしては、日本放射線技師会主催の学術大会やセミナー、講習会等の他、個別に認定される国際学会や会議のみがカウント付与の対象となり、また、各都道府県放射線技師会の学術・研修活動については、各地域における医療の安全や質の向上に大きく寄与すると考えられることから、社会活動等に区分され、すべての活動がカウント付与の対象となった。

【認定資格について】
 
認定資格には4つの資格(放射線機器管理士、放射線管理士、医用画像情報管理士、臨床実習指導教員) があり、所定の講習会を終了した者に対して受験資格が得られる。この所定の講習についてはオンライン学習の整備に一区切りついたことを受け、今後、受講料が無料となった。
 更新要件については、認定資格の本質的な業務へ従事した実績をもって評価し、資格を更新することになっていたが、会員の様々な諸事情を考慮し、生涯学習カウントを資格更新に利用することが可能となった。それに加えて、生涯学習実績のない資格者に対しては更所のための講習会を実施することとなった。更新講習会を受講し、修了試験に合格することで資格更新が可能となる。

【臨床技術能力検定について】
 
臨床技術能力検定制度については、受験資格に見直しが加えられた。臨床技術能力検定3級は、基本的知識水準の維持の確認を目的とすることから、受験資格が“診療放射線技師免許を有する者”と受験対象者には制限を設けないことになった。また、臨床技術能力検定2級以上には、受験資格に“臨床経験が通算3年以上”が加えられ、より臨床技術能力という本来の趣旨に沿った運用となっている。

【最後に】
 
以上、新しい生涯学習システムの要点を簡単に解説致しましたが、以前と比べると解りやすく、利用しやすくなったように思われます。詳細は日本放射線技師会雑誌(2009.vol.56 No.679) に掲載されています。ぜひ一度、確認してみて下さい。
 今後、多くの大阪府放射線技師会会員の方々が、技師格、認定資格の取得や更新を迎えると思います。医療の進歩はめざましく、医療に携わる職種は、生涯学習が必須と考えます。自己のスキルアップの一つ方法として、この生涯学習システムが有意義なものになれば幸いです。

学術部 樫山 和幸